iPadのOSはiPhone OS 3.2で、このバージョンはiPad専用のバージョンになります。(現在のiPhone向けの最新はiPhone OS 3.1.3です。)
遅ればせながら、iPhone OS 3.2で追加された機能をざっと。
1)UIの要素の追加
・Popovers
iPadを縦に持った状態でMailを起動した時に、左上の受信ボタンを押した時に表示されるパネルです。
iPadの広いスクリーンを生かして、画面の階層を浅く、遷移を少なくする為に追加されたUIです。
・Split Views
iPadを横に持った状態でMailを起動した時、左側にメールのリスト、右側にメールの内容が表示されますが、このような二つに分かれたViewです。
こちらもiPadの広いスクリーンを生かして、画面の階層を浅く、遷移を少なくする為に追加されたUIです。
・Custom Input Views
テキスト入力の為の独自のUIを作れるようになりました。
iPhoneでコピーやカットなどを行う時に表示されるメニューもカスタマイズできます。
2)外部ディスプレイのサポート
「Apple iPad Dock Connector – VGAアダプタ」を使って、iPadの映像をVGA出力する機能を使えます。
3)ジェスチャー認識のAPIの追加
UIGestureRecognizerというクラスが追加になり、以下の操作を取得できるようになりました。
・タッピング(回数も取得)
・ピンチイン/アウト(ズーム)
・パニング/ドラッグ
・スワイプ(方向も)
・回転
・長押し
タッピングの回数などはiPhoneでも簡単に取れますし、UIScrollViewを使えばズームなども簡単に処理できますが、独自のUIをUIViewから作った時など、簡単に操作を実装できるメリットと、同じAPIを使えば、同じようなタイミングで検知されるはずなので、ユーザーから見た時の操作の統一というメリットもあると思います。
4)テキスト処理の強化
・Core Text
テキスト処理の為のC言語ベースのインターフェイスです。
・Text Input Support
独自のテキスト入力のサポート。
・カスタムフォント
今まではカスタムフォントを使おうと思うと、独自に処理を作る必要がありましたが、フォントファイルを使えるようになりました。
・ICU Regular-Expression Support
Unicodeをサポートする為のオープンソースプロジェクト「International Components for Unicode (ICU)」のライブラリをサポートしているそうです。
5)ファイルとドキュメントのサポート
・ファイル共有のサポート
iTunes経由でファイルを共有できます。
ファイルを共有できるアプリは、iTunes上で同期するアプリを選択する画面の下の、「ファイル共有」欄に表示され、ファイルを追加/保存できるようになっています。
・ドキュメントサポート
MacOS Xのアプリと同様、アプリがサポートしているファイル形式を定義できるようになりました。
先のファイル共有と併せて、テキストエディタのような、特定のファイル形式を操作するアプリは作りやすくなりました。
・PDF Generation
PDFファイルが作れるようになりました。
6)XCode
iPadのシミュレータの追加など、iPadアプリ開発の為の機能が追加されました。
iPhoneとiPad両対応のUniversalアプリの開発も行えます。
7)既存のAPIの変更
新しく追加された機能に関連するフレームワークなど、いくつか修正されています。
上記のAPI的な変更以外に、iPadは処理速度が速くなったり、検知できるタッチ数が違ったりと、ハードウェア面でも強化されていたり、画面サイズの違いから用意する素材が違っていたりします。
強化ポイントを簡単にまとめると、大きな画面サイズを生かすようなUIの強化、テキスト処理の強化、ファイルのサポートという所です。
ファイルについては、アプリ内でディレクトリ構造やファイルを意識して開いたり保存させるような操作は避けるようにとガイドラインにあるので、iPhoneアプリのようにシンプルさは維持しつつ、うまく使う必要がありますが、Numbersをさっと使ってみた所、かなり分かりやすい気がするので、Appleのアプリを参考にすると、目指す所が分かると思います。
iPhoneの画面サイズで見づらかったことや、やりづらかった事は、iPadのサイズがあれば大抵は解決するので、スクリーンが大きいというだけでも、思ったよりもやれる事が増える印象です。
やれる事が多くなった分、作る方は大変な部分もありますが、色々な可能性がある端末であることは間違い無いです。
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